小児眼科
小児眼科では、眼がまだ完全に発達していない小さな子どもを対象に診療いたします。小さな子どもは眼の異常や自覚症状をうまく訴えることができないので、病気の発見が遅れてしまうことも多くあります。
3歳児検診や学校検診で指摘された方の精密検査を行っています。お気軽にご相談ください。

子どもの近視
近視は、眼に入った光の焦点が網膜の前方にある状態です。近視には遺伝因子と環境因子の両方が関与しています。
現代では、パソコン、スマートフォン、デスクワークなど、近くを見続ける活動の時間増加に伴い、近視が増加しています。
小学校高学年から中学にかけての学童期以降の近視は、学校近視ともよばれ、環境因子の影響が大きいです。遺伝因子の影響が大きい近視は、小学校入学前に発症する傾向があります。
また、重度の近視は遺伝因子の影響が大きいです。近視の症状が疑われる場合には眼科を受診してください。

近視ってどんな病気ですか?
近視の多くは、眼球が前後に伸びて、ピントが網膜に合わずに、景色や文字がばやけて見えます。また、眼球は体が成長する時期に伸びることが多く、低年齢の頃に速く伸びる可能性があります。


近視は増えているのですか?
小児の近視は増加しており、小学生の約4割、中学生は6割、高校生では約7割が裸眼視力1.0未満と報告されています。

どうして近視は増えているのですか?
近年のライフスタイルの変化が原因と考えられています。

近視が進行するとどうなるのですか?
近視が軽度であっても、将来、白内障、緑内障や網膜剥離などの病気になる可能性があります。
強めの近視(-6.0 D 以上)の場合には、白内障や緑内障になる確率は3倍、網膜剥離になる確率は13倍という報告があります。
子どもの「見える」を守るために、今できることはありますか?
視力が気になったら眼科専門医を受診して検査を受けましょう。
目の状態や、近視が進行しているか、近視以外の病気がないか、詳しく調べてもらいましょう。

近視と診断されたら、どういしたら良いのでしょうか?
近視の対処方法について眼科専門医に相談しましょう。
お子さんの状態を確認し、適した方法を相談しましょう。


近視進行予防の生活指導について教えてください。
屋外で過ごす時間を増やしましょう。
外遊びは近視だけでなく、脳、心、体の発達に良いとされています。

近視の対処法を教えてください。
近くを見続けないようにしましょう。
近いところを見る時間が長いと、近視になりやすいことがわかっています。
姿勢を良くして、部屋を明るくすることを心がけましょう。


メガネ・コンタクトレンズによる矯正は必要ですか?
適切な矯正ができないと視力の発達、学習、お友達や周囲との関係・身体活動にも影響するとされています。お子さんの状態に合った視力矯正は、とても大切です。

近視の進行を抑える治療の目的はなんですか?
近視は子どもの時ほど速く進む可能性があります。早い段階からできるだけ近視が強くなることを避けることで、将来の見え方を守り、目の病気になる可能性を低下させることが治療の目的です。
注意!
近視進行抑制治療は近視の進行を抑制するものであり、進行が完全に止まるわけではありません。近視抑制治療は近視を改善するものではないため、近視の程度に応じて眼鏡やコンタクトレンズでの視力矯正が必要になる可能性があります。
子どもの斜視
子どもの斜視は、両目の視線が正しく合わない状態を指します。
原因は様々ですが、多くは目を動かす筋肉や神経の異常、遠視などがあげられます。まれに、脳や体の病気が隠れている場合もあるため注意が必要です。
家庭や健診などで斜視が疑われる場合は、眼科を受診しましょう。専門医による適切な検査と治療を受けることで、視力や両眼視機能の発達をサポートし、将来の生活に支障をきたさないようにすることが大切です。
子どもの弱視
弱視は、視覚情報が伝わる経路のどこかに支障があるために、視力の発達が止まったり遅れたりすることで起こる状態のことをいいます。
通常、生後1か月から8歳ごろまでの視力発達の感受性期に、片目または両目に適切な視覚刺激を受け取ることができなかった場合に生じます。
原因は、生まれつきまぶたが下がっている、片方の目の位置がずれている、両目に強い遠視や乱視がある、右目の屈折度数(近視、遠視、乱視などの程度)に大きな差があるなどが考えられます。

弱視の治療法は、眼鏡をかけて網膜にきちんとピントを合わせることが大切です。
眼鏡だけでは視力が良くならない場合は、視力の悪い方の目を使うような訓練も行います。
当院では国家資格を有する視能訓練士が弱視検査ならびに弱視治療を行っています。